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執筆者の写真 槍平小屋

【参考】飛騨沢ルートの増水予測について

更新日:10月3日


滝谷橋流出後の再架橋作業の様子


槍平小屋にある問い合わせで一番多いのが

『沢の増水に関する問い合わせ』です。


小屋にお問い合わせいただいた際にお渡しできる情報は、

〇現在の槍平の天気

〇お問い合わせの時点での通過者の有無

に留まります。


また、小屋の全スタッフが増水へのお問い合わせに精通しているわけでは無く、

繁忙時は細かな状況のチェックが出来ていない場合もあります。


槍平小屋の小屋番も常に直接増水個所の状況を把握できるわけでは無く、

◎滝谷ライブカメラ

◎白出沢雨量計

◎天気予報の動向

を参考にして増水状況と今後の見通しを検討しております。


上記の情報はどなたでもネット上からアクセスできますので、

小屋に直接問い合わせするよりも自身で調べて情報を確認していただく方が

視覚的にも確認でき有用な情報になると思います。


以下に各情報の見方と、予測の仕方を記しますので

判断のご参考にしていただければと思います。


 

【目次】




 

① 飛騨沢ルート(白出沢~槍平間)の増水リスクの高い場所


登山口から順に

〇白出沢:林道の終点、普段は涸れ沢

〇チビ谷:普段は涸れ沢

〇滝谷:普段より流れがある。シーズン中は橋が架かっている。

〇南沢:普段は涸れ沢





 

② 小屋発表の公式最新情報


「天気はどうなりますか?」

「沢の増水状況はどうですか?」


悪天候時に上記のようなお問い合わせのお電話を多く頂きますが、

槍平小屋の現在天気や、スタッフが把握している増水状況などの

天気・増水に関する最新情報は、

槍平小屋 X(登山道情報)にて発信しております。



← クリックして確認!



まずはこちらをフォローして頂いた上でご確認ください。

※注意 )Xの仕様で、フォロー外からは最新情報順での情報確認はできないようです。



シーズン中は現地天候情報を発信しているほか、


【登山道注意情報】登山道の通行に注意が必要な時に発表する情報

降雨に伴う増水が軽視できない規模になった場合や、

残雪や降雪による影響を注意喚起する場合などに発表します。


【緊急登山道情報】命に係わるリスクが予見できる場合に発表する情報

気象庁が発表する気象警報発令時、および

激しい降雨による徒渉不能レベルの増水が確認・確信できる場合に発表します。

この情報が発表されている時は入山・山中での行動はしないようお願いします。

無視して行動していた方が死亡した事故も発生しています。



 

③ 白出沢雨量計から見る増水判断


稼働は6月中旬~10月下旬


白出沢雨量計は岐阜県(県土整備部河川課)が設置し、

川の防災情報と併せて一般公開されています。

右俣谷林道終点にあり、雨天時に槍ヶ岳・飛騨沢ルートの雨量を推測する目安となります。


【滝谷架橋流出のリスク大の雨量目安】

1)1時間雨量が30㎜を超えた場合

2)3時間連続で時間雨量が10㎜を超えた場合

3)累計雨量が100㎜を超えた場合


滝谷架橋が流出した場合、減水して渡れるようになるまでの時間が増えるほか、

1時間に10㎜未満の雨の増水でも徒渉不能・困難になるリスクが出てきます。


【徒渉困難な沢の増水が発生している可能性がある雨量目安】

1)1時間雨量が20㎜を超えた場合

2)3時間雨量の合計が20㎜を超えた場合


増水に至るまでの降雨量などの状況次第ですが

天気が回復傾向の場合、

雨が止んだ状態で1時間ほどで徒渉可能な水量に落ち着くケースもあります。


また、残雪のある時期(10月~7月中旬)の大雨は

山の上部で雨に融かされた雪どけ水が加わるため、

増水するペースが早く、規模も大きくなります。



 

④ 天気予報からの増水リスク判断について


行動中は電波状況が悪い場所もあるため、

電波環境の良い場所で天候チェックを欠かさず行いましょう。


各種天気予報サイトの紹介と、活用法方については

別記事:【参考】天候判断について(準備中)

をご参照ください。


〇天気が回復傾向か悪化傾向か

〇入山前の降雨状況はどうか

〇下山ルート通過時の天気予報・降雨量はどうか


などを検討して、

リスクに応じてエスケープルートや

サブプランを用意し臨機応変に安全な行動をとれるようにしてください。



 

⑤ 増水リスクを考えるにあたって


増水時の情報発信が目につきやすいので、

天気予報に雨の気配がない状況でも増水を心配される方がいらっしゃいます。


〇街で傘をさして歩けばほぼ濡れない程度の雨が半日降り続く

〇夕立で強い雨が短時間(1時間以内)ざっと降る


くらいの雨の降りでは増水の心配はありません。

先に記した基準を参考にして頂き、

警戒が必要な時と必要ではない時の判断の一助となれば幸いです。


また、少し話が変わりますが

雨は増水のリスクだけではなく

体力を奪い、低体温症になり行動不能になるなど他のリスクも引き起こします。

特に春先や秋口は降雨量以外にも注意が必要です。


不必要におびえず、正しく恐れてください。



 

⑥ 過去の大規模増水例


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